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一月二十四日。
この日は、僕達の四度目となる結婚記念日だ。
午前中で仕事を切上げた僕は、買い物を済ませてから家に帰ってきた。
家政婦さん達に目で合図すると、次々に帰っていく。
結婚記念日は、美波へのサプライズとして夕飯は僕が作る。
事前に、そう伝えておいた。
庭師も冬の間は暇を出している。
専属の運転手も、今日はもうどこにも出掛けないからと言って帰らせた。
家の中は、僕と美波の二人だけだ。
夕方を過ぎて、まだベッドにいる美波を起こしに行く。
「シャワーでも浴びておいで。そろそろ夕飯にしよう」
「……うん、わかった」
一階で待っていると、しばらくして美波がやって来た。
キョロキョロと辺りに目をやっている。
「家政婦さんは?」
「今日はもう帰ってもらったよ。夕飯は僕が作ったんだ」
食卓の椅子を引いてやり、美波を座らせる。
料理はもうできていた。
僕はキッチンから、二人分の豪勢な食事をワゴンで運んできた。
「食事の前に、美波にプレゼントがあるんだ」
ワゴンに乗せていた細長い箱から、ネックレスを取り出して見せた。
ネックレスの先には、ハート型にカットされた四粒のダイヤが縦に並んでいる。
それぞれサイズの違うダイヤは、下にいくほど大きくなっている。
シンプルな見た目だが、しなやかに揺れる美しい輝きは僕からの愛の証だ。
「ありがとう」
「今、付けてあげるよ」
美波は、後ろで結んでいた髪の束を胸の前に持っていった。
僕はネックレスをポケットにしまった代わりに、隠し持っていたものを取り出した。
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