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教授は、三か月を過ぎたくらいだと言っていた。
……三か月。
三か月前といえば、僕達が最後にセックスをした頃だ。
今になって思えば、不自然なことがあった。
初めて美波と肌を合わせた日から、三日間、美波は立て続けに僕を求めてきた。
それが四日目になると、ピタリとやんだ。
翌月も、また美波は三日間、連続して僕を求めてきた。
前回と同じように、四日目には何もなかった。
さらにその翌月も、同じだった。
だが、そのあと、美波は一切僕を求めてこなくなった。
父親を亡くしたショックが大きかったのだろう。
そう思っていたのと同時に、僕はホッとしていた。
本当はそうじゃなかった、とも知らずに……。
美波は妊娠に気付いていたはずだ。
僕を求めてこなくなったのは、セックスをする必要がなくなったから?
目的は、一つ。
子供を……宿すこと。
あの晩、ベッドで美波が僕にしがみ付いて肩を震わせていたのは、父親の死を悲しんでいたからじゃない。
僕への贈り物を決めたからか?
最悪の結末を迎えるサプライズとして……。
美波は、いつからそのプランを考えていたのか?
冷静になって思い出せ。
初めて美波が僕を求めてきたのは……義母が亡くなったあと、平川さんが子供を連れて遊びに来た日の夜だ。
幼い子供を見て、思い付いたのかもしれない。
美波が酒を飲まなくなったのも、ちょうどその頃からだった。
飲んだくれの父親を見るようになって、酒を飲むのがいやになったとばかり思っていたが、そうじゃなかった。
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