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となると、美波は……母親の死を疑っていた?
単なる病死で、すべて完璧だったはずだ。
僕は、美波に感付かれるようなミスを犯したのか?
母親が死んだあと、次に都合よく父親が死んだ。
それも美波が旅行に出掛けている間に。
疑っていたものが、確信に変わったのかもしれない。
いや、それとも……最初は本当に子供が欲しくて?
……分からない。
これは、本当に美波が仕組んだことだったのか?
どちらにせよ、いくらなんでもこれは……やり過ぎだ。
自分を食わせるだけでなく、腹の中にいる子供まで……僕に……。
やっぱり、あの女はイカれていた。
イカれ……て……。
涙があふれ出てくる。
事前に美波から連絡があった、と聞いた時点で警戒しておくべきだった。
あの美波が、僕を教授に託すだけで済むはずがない。
後悔したところで、もう遅いが。
美波に贈る最高の復讐として立てたプランも、結局、僕はまた……二人にハメられた。
教授達を出し抜いていたつもりが、同じ土俵に上がるどころか、僕だけが場外だった。
あの口ぶりでは、教授も美波の妊娠は知らなかったようだ。
仮に知っていたとしても、胎児を見付けた時に僕に知られないよう、そっと処分することだってできたはずだ。
それもせずに、教授は……僕に食わせた。
教授なら、やりかねない。
僕の皿に骨付きの胎児の肉を盛って、あえて僕に気付かせた。
何食わぬ顔で、僕が僕の子供を食べる様子を見ながら、ほくそ笑んでいたに違いない。
美波もそうだが、一番イカれていたのは……教授だ。
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