五日目の深い夜※

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五日目の深い夜※

 薄暗い部屋で、どさりとマリウスの纏っていた重たいマントが床に落ちた。  激しく口付けを交わしながら寝室に続く扉へ移動する。その間にマリウスはジャケットも床に脱ぎ捨て、私の簡素な部屋着に手をかけた。ドレスもあっという間に床に落とされる。  ベッドまで辿り着くと抱き上げられ、それまでの激しさが嘘のように優しく横たえられる。  見上げるマリウスは、シャツのボタンを外しながら私をじっと見下ろしている。  厚い筋肉で覆われた胸が上下するのを見て、彼が私に興奮しているのだと思うとお腹の奥が熱くなった。  素早くシャツを脱ぎ捨てて後ろ手に放り、私の上に覆い被さるとゆっくりと唇を啄む。大きな掌が肌着一枚になった私の身体を這い、けれど肝心な場所には触れない。  身体の線をなぞるだけのその焦ったい動きに、無意識に身体を捩った。  合わせた唇からふっとマリウスの吐息が漏れる。 「アメリア、気持ちいいですか?」  唇を触れさせたまま言葉を発する、そのささいな吐息すら身体の芯が熱くなる。  ゆっくりと掌が太ももへ下り、何度も羽をくすぐるように往復して、長い指先が下着の隙間に侵入する。けれどまた出ていってしまう。 「ん、んんっ」  唇を啄んでいたマリウスが顎へ、喉へと下りていく。  分厚い舌にねっとりと首筋を舐め上げられ、喰まれただけで甘い声が漏れてしまう。ぎゅうっとマリウスの頭を抱えるように抱きしめて、そのふわふわの髪に指先を差し込んだ。 「……マリウスの口付けは、気持ちいいわ」 「……っ、アメリア、そんなこと言われると優しくできなくなるからダメです」 「え? なん……んっ、ぁっ」  舌先を尖らせて、ついっとなぞるように首から鎖骨、胸元へと下りていく。  ビクビクと身体が揺れ、腰をマリウスに押し付けると、脚の間にいるマリウスの固い楔を感じた。ゆるゆると動かせば、マリウスから呻き声が上がる。 「まだ駄目ですよ」  身体を起こしたマリウスは私の脚を左右に大きく開くと、掌で私の脚の付け根を覆う。マッサージをするように大きく動かされ、大きく声が漏れてしまい慌てて両腕で顔を覆った。 「痛みが出ないようによく解さないと」 「い、痛くないから……っ」 「でもまだ、貴女が初めてここに俺を受け入れてから、それほど時間がたっていないでしょう?」  掌で捏ねるような動きから、長い指が意志を持ってあわいを撫でる動きに変わる。下着の上から何度もなぞられ、やがてその上にある芽を押し込むように捏ねられて、高い声が出た。  ぎゅっと脚を閉じたいのに脚の間にいるマリウスを挟むだけだ。快感に腰を捩ると、もう片方の手が背中に周り腰の窪みを指でなぞった。  ただそれだけなのに、ゾクゾクと甘い痺れが走る。 「腰も弱いね。感じやすい身体だなんて、可愛いねアメリア」  快感の波から逃れようと身を捩ると、今度はそのままひっくり返され背後からマリウスが覆い被さった。 「綺麗な背中だ」  背後から耳元でそう囁かれて、くちゅ、と耳を口に含まれる。頭にぐちゅぐちゅと水音が大きく響き、その卑猥な音に首を振る。  ちゅぱっと音を立てて離れると、大きな掌が私の髪をかき揚げ、顕になったうなじにちゅっと口付けを落とした。  うなじから背骨をなぞるようにゆっくりと降りてくるマリウスの舌と唇の感覚に、ビクビクと身体が震え言うことを聞かない。  背後から伸びてきた手が胸を揉みしだき、背中を執拗に舐められる。いつの間にか脱がされた肌着をマリウスが抜き取り、床にばさりと落ちる音がした。 「……腰が揺れてる」  背後から低く抑えた声が聞こえて、かあっと顔が熱くなった。抵抗しようと身を捩ると、腰の窪みを舌先に嬲られて力が出ない。  そんなつもりはなくても腰が浮き、マリウスにお尻を押し付けるようになってしまう。 「……っ、ぁっ、ヤダまって……っ!」  マリウスはそんな私の腰を掴むと持ち上げ、膝を立たせて四つん這いのような格好をさせた。  マリウスの長い指がつうっと私のお尻から太ももの裏を撫でる。 「アメリアは感じやすいんですね。気持ち良くなってくれて嬉しいです」 「そ、そんなこと……っ」 「だってほら、こんなに溢れてる」  長い指がゆっくりと太ももを這い、そのままするりと脚の付け根をなぞり下着の隙間から侵入した。ぐちゅ、と水音がして、そこが信じられないほど潤っていることに初めて気がつく。  侵入した指はそのままあわいを割り行って、濡れたそこをゆっくりとかき混ぜるように動く。何度かぐるりと浅いところを撫で、中の柔らかい壁を指先を曲げて刺激された。  ビリッと走る刺激に大きく腰が揺れると、ぬらりと足の間に生温かい感触がして水音が部屋に響く。  指は敏感な芽を捉えぐりぐりと捏ねるように動き、生温かい感触があわいを撫で隘路を侵入してきた。見えないからこそ余計に、それがなんなのか、何をされているのか感じ取り、羞恥に身悶えた。  ずるずると啜るような音に恥ずかしさでおかしくなりそうだと言うのに、無意識に腰が揺れ、まるで強請っているような動きをしてしまう。  快感に頭が白く染まる。  恥ずかしさなどどうでもいいほど、この気持ちよさに溺れていく。 「あ、ああっ! も、もう……マリウス……っ」  つま先まで甘い痺れが走る。気持ちよすぎて苦しい。  執拗に舐めしゃぶられ敏感な芽が痛いほどだ。枕を引き寄せ顔を埋めて、掠れた嬌声を必死に抑えた。  快感に意識が押し出されるように、頭も視界も真っ白になった頃、ぎゅっと力が入ったつま先がシーツを蹴って、身体がふわりと投げ出された。
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