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自宅に帰った巴はダイニングの椅子に座り、離婚届を眺めていた。
まだ空白ではあったが、誠が帰宅したらすぐにでも埋めるつもりだった。これからは一人で生きていくしかない。仕事を始め、年金には頼らないほどの収入を得る。子供を産めない以上、奏真を頼る気にもならない。
誠の態度も確かに問題ではあった。巴を女性として蔑ろにし、些細なことで怒ることもあった。それでも巴は自身の体の問題が発端となっていることに責任を感じ、裁判で争うようなことはしたくはないと考えていた。
喉の渇きを感じて立ち上がっとき、携帯が鳴った。画面に表示されているのは、知らない番号だった。
誰?疑問に思いながらも巴は携帯を手にした。
電話の相手は警察官を名乗り、夫が死んだと告げた。
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