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ぼくとチリは、同時に叫んだ。
あまりに声がピッタリ合ったから、ぼくたちは、お互いの顔を見て笑った。
ぼくが手伝おうと思った理由は、責任を感じたからだ。
ぼくが石敢當を倒さなかったら、こんなことにはならなかった。
サクヤヒメさまは、ぼくのせいじゃないと言ってくれたけれど、でもやっぱり、石敢當を倒したことを償いたかった。
チリの理由は好奇心とか冒険心なのかな?
少しの間、初めて見るチリの輝くような笑顔から目が離せなかった。
「ありがとう。それでは動き出す前に、皆さんのお名前を教えてもらえますか?」
チルヒメさまが聞いてきた。
「あたしは、サキです」
「オレは、ハル!」
サキとハルがすぐに答え、ぼくとチリが後に続いた。
「では、道に出てさがそう。だが我らを見たら、ニニギノケガレは警戒するだろう。だから、お前たち二人の体に、入らせてもらえまいか?」
「えっ、あたしたちの?」
サクヤヒメさまの言葉に、サキとチリはお互いに顔を見合わせた。
「大丈夫ですよ。ちょっと心の片隅にお邪魔するだけ。目に映るものは、共有させてもらいますけれど、あなたたちの体を乗っ取るわけではありません」
チルヒメさまがそう言うと、
「分かりました。どうぞ」
サキがそう答え、チリはコクンとうなずいた。
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