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「じゃあ、行くよ」
そう言って、ぼくたちを促し、美術室のドアに歩き出したのはサキだった。
ぼくとハルは、サキに続いた。
――すぐに行動! こういう状況になると、自然とリーダーはサキだよな……。
でも、チリは片付けにモタモタしていた。
「待って! 絵に白布をかけるから。机の上も片付けて、灯りも消さなきゃ」
「そんなこと、気にしなくていいよ!
どうせ二時間後には、オレたち、ここからいなくなるんだぜ」
ハルが、せかすように言った。
「だめだよ。あたしたちがいなくなった後の、この時空世界のあたしたちや周りの人に迷惑をかけられないよ」
――こういうのを誠実って言うんだろうな。なんだろう、この気持ち。
好きっていうだけじゃなく、尊敬っていうか……。
「そうだよね。チリの言う通りだ」
自分の机に戻って、出しっぱなしタッチペンやデジタル教科書を片付けた。
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