第9話 夜、走る

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日没後の繁華街。 青白く輝く街路灯の下、ぼくとハルは地面を蹴って並んで走る。 ぼくらの前を、チリとサキが自転車で走っていく。 チリは、ぼくの通学用白ヘルメットを被り、ぼくの自転車をこいでいる。 サキも、ハルのヘルメットと自転車を使っている。 二人は徒歩通学だから、学校に自転車を置いていない。 その結果がこれだ。ぼくとハルは、 二人乗りで走りたかったんだけれど、 「校則違反!」「その前に、道路交通法違反よ!」 と、サキとチリに声を合わせられちゃ仕方がない。 まじめな二人だから自転車で走るときも縦一列。 前がサキ、後ろがチリだ。 しかもチリは、安全のために十分な車間距離をとっているから、先頭を走るサキが遠い。 ぼくはサキに聞こえるように、走りながら叫んだ。 「前の十字路を左に曲がって!」 走り出してからずっと、方向を変えるたびに、ぼくは大声を出している。 走るのはつらくないけれど、大声を張り上げると、行き交う人たちが驚いてぼくに視線を向けてくるのがつらい。
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