8人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
ぼくとハルは並んでサキとチリと向かい合い、四人掛けのテーブル席に座った。
そして、自分たちの財布の中身を確かめた。
ぼくは八百円、ハルは七百円、チリとサキは、それぞれ二千円ずつ持っていた。
お店のおばさんが、テーブル席に水の入ったコップを四つ持ってきてくれた。
「ヒカルちゃん、かわいい女の子たちだね。あんたも、中学生だもんね」
冷やかすようなおばさんの声。
「おばさん、やめてよ」
家族経営のこのお店は住居と一体になっていて、おじさんとおばさんは、ぼくと同じ町内会だから、ぼくのことを幼い頃から知っている。
「注文が決まったら、声をかけてね」
おばさんは笑って、他のテーブルに向かった。
「ヒカル。このお店のおすすめは、なに?」
と、メニューを見ていたサキが聞いてきた。
「タンメンかな」
値段は五百円と安いけれど、美味しい上に野菜炒めがたっぷり載っている。
「じゃあ、あたしそれ」
「あたしも」
「オレは、それの大盛りで!」
「えっ大盛って、多分、想像している以上のボリュームだぞ」
「大丈夫だよ。メチャメチャ腹減ってるもん」
ぼくは、おばさんが布巾がけをしているカウンター席まで行って、タンメン四つ、内一つ大盛と注文して、テーブル席に戻った。
最初のコメントを投稿しよう!