第1話 ドキドキ!初デート

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さくらさんさろまで、あと二十メートルくらいで、神世通りからハルが現れ、ぼくに気付いて手を振った。 その後ろには、サキとチリ。 ――よかった。間に合った。 ぼくは安心して自転車のブレーキをかけたが、〟ジャリリ〟という音と同時にハンドルがとられ、自転車のバランスが崩れた。 あわてて地面に、視線を落とした。 道路にはこの冬の雪対策で、自動車のスリップ防止用にまかれた砂が大量に残っていた。 その砂が生きているヘビのような形になって、のたうち流れ、自転車の車輪をあやつっている! ――どっ、どうして!? さくらさんさろの石塔に正面衝突しちゃうよ!  とっさに、自転車ごと自分から倒れた。 ぼくはうねる砂の流れに乗り、さくらさんさろのど真ん中に向かって、すべり込むように足から突っ込んでいった。 目の前で、横倒しに滑って行く自転車が低い路肩に乗り上げ、石塔に当たった。 ――このまま突っ込んだら、大ケガになる! 一瞬の判断で、倒れている自転車のサドル部分を、滑り込んでいく両足の裏で蹴った。  衝撃は、ぼくの足から自転車に伝わり、そしてその先の小さな石塔を襲った。 ぼくは止まることができたけれど、石塔は〟ボコッ〟という音を立てて、ドミノのように倒れた。 「うわっ、神さま、ごめんなさい!」 ぼくは倒れたまま、思わず叫んだ。 ハルとサキ、そしてチリがかけ寄ってきた。 「おい、ケガはしなかったのか?」 ハルが心配そうに声をかけてくれた。 立ち上がってみると、ズボンは地面にこすれて傷だらけになった。 でも、体はそれほど痛くない。 かすり傷程度で済んだけれど、石塔を倒してしまった。
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