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――なに、爆発?
振り返ろうとした瞬間、突風に吹き飛ばされ、ぼくたちは、うつ伏せに倒れ込んだ。
「痛(いた)っ! なんだよ、今の、爆発?」
と、ハルの声。
ぼくたちは、三つの祠の前まで吹き飛ばされていた。
立ち上がって周りを見ると、世界が一変していた。
雲一つなかった空には、一面に真っ黒な入道雲が湧き起こり、太陽の光を隠していた。
天空のいたるところで紫色の稲光が瞬き、耳をつんざく雷鳴が轟いた。
ぼくが通って来た桜並木は満開のままだったけれど、行き交う人たちは、地面に倒れてピクリとも動かない。
――みんな、カミナリに打たれたのか? それにしても、ぼくたちだけ、どうして無事なんだ?
「あれ、なに?」
サキが上空を指さした。
サキの指の先、グルグルと回転しながら、上へ上へと立ち上る暗黒の入道雲のてっぺんがちぎれて、丸い塊になった。
その黒い大きな雲の塊は、重力に引きつけられるように、目の前に落下してきた。
雲の塊は地上に落ちると、濃い霧となって一帯に広がった。
「なにも見えない」
灰色の霧に覆われ、視界を失ったぼくたちは身を寄せ合った。
「ん? 霧の中に誰かいる」
目を細めてつぶやくハルの視線の先を追うと、確かにうすぼんやりと一つの影が見えた。
霧は少しずつ濃度を失い、影が人の形になってきた。
ゆったりとした白い服を着たひとりの男。
「あの人、神御衣(かんみそ)を着ている……」
チリがつぶやいた。
――カンミソって、なんだ?
その男は、地面から少しだけ宙に浮き、ぼくたちの方に滑るように進んできた!
――なんだ! 特撮のワイヤーアクションか?
霧が残って、よく見えないけれど、透明なひもで上から釣り上げられているのだろうか?
男の豊かな長い髪の毛が、ライオンのたてがみのように風になびいている。
太い眉毛は凛々しく、がっちりとしたあごの線もシャープだ。
――強そうでかっこいい。二十歳くらいかな。
遠い昔の人のような服装。
あの服のことを、チリはカンミソって言ったのか。
神世桜五千年祭に呼ばれた役者かな?
「あなたは、いったい?」
ぼくはその男の人に聞いてみた。
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