第2話 三姉妹

4/4
前へ
/114ページ
次へ
どうしてこんなことが起こっているんだ。 ぼくが石敢當を倒したからか? 「わーっ、ごめんなさい! 石敢當は、すぐ直します!」 「ずいぶんあわて者だな。石敢當は、お前の不注意で倒れたのではない。 あのモノ、ニニギノケガレ(瓊瓊杵穢)がお前を操って倒したのだ。 石敢當が倒れたことで、ニニギノケガレは結界を破り祠に近づき、我らの一番上の姉であるイワナガヒメ(石長姫)を、さらったのだ」 二人のうち、めまいがするほど美しいほうの女神さまが、ぼくに向かってそう言った。 ――この女神さま、どこかサキに似ているなぁ。 ぼんやりとそんなことを考えていたら、 「長女の女神さまが、イワナガヒメさまということは、あなた方は、コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)さまと、コノハナチルヒメ(木花知流姫)さまなのですね」 と、ぼくのとなりに立つチリが、声を弾ませてそう聞いた。 「ふむ、そのとおりだ。われが三姉妹の真ん中のコノハナサクヤヒメ。こちらが、一番下の妹、コノハナチルヒメだ」 サクヤヒメという女神さまは、静かにたたずむもうひとりの女神さまを紹介してくれた。 「よろしく……、コノハナチルヒメです」 ――あっ、この女神さま、人見知りしている。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加