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どうしてこんなことが起こっているんだ。
ぼくが石敢當を倒したからか?
「わーっ、ごめんなさい! 石敢當は、すぐ直します!」
「ずいぶんあわて者だな。石敢當は、お前の不注意で倒れたのではない。
あのモノ、ニニギノケガレ(瓊瓊杵穢)がお前を操って倒したのだ。
石敢當が倒れたことで、ニニギノケガレは結界を破り祠に近づき、我らの一番上の姉であるイワナガヒメ(石長姫)を、さらったのだ」
二人のうち、めまいがするほど美しいほうの女神さまが、ぼくに向かってそう言った。
――この女神さま、どこかサキに似ているなぁ。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、
「長女の女神さまが、イワナガヒメさまということは、あなた方は、コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)さまと、コノハナチルヒメ(木花知流姫)さまなのですね」
と、ぼくのとなりに立つチリが、声を弾ませてそう聞いた。
「ふむ、そのとおりだ。われが三姉妹の真ん中のコノハナサクヤヒメ。こちらが、一番下の妹、コノハナチルヒメだ」
サクヤヒメという女神さまは、静かにたたずむもうひとりの女神さまを紹介してくれた。
「よろしく……、コノハナチルヒメです」
――あっ、この女神さま、人見知りしている。
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