第1話 ドキドキ!初デート

1/5
前へ
/114ページ
次へ

第1話 ドキドキ!初デート

真っ青な空と満開の桜並木の下り坂。 そのど真ん中を、ペダルを回して突っ走る。 今この瞬間、まさに散り始め。 ハラハラと舞う桜色が目や鼻に貼り付いてきて、あーっ邪魔!  右手で顔をぬぐいながらも、膝の回転はゆるめない。 走っている桜の並木道は、歩道と車道が分離していない。 ぼくは、道の両側を歩く人たちにぶつからないよう、ベルを右親指で鳴らし続けながら、白いセンターラインに沿って駆けくだっていく。 「ばっかやろう! 死にてえのか!」 「すんません!」  歩く人から、声がかかるけれど、スピードは落とせない。 ――今だけは!  
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加