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第1話 ドキドキ!初デート
真っ青な空と満開の桜並木の下り坂。
そのど真ん中を、ペダルを回して突っ走る。
今この瞬間、まさに散り始め。
ハラハラと舞う桜色が目や鼻に貼り付いてきて、あーっ邪魔!
右手で顔をぬぐいながらも、膝の回転はゆるめない。
走っている桜の並木道は、歩道と車道が分離していない。
ぼくは、道の両側を歩く人たちにぶつからないよう、ベルを右親指で鳴らし続けながら、白いセンターラインに沿って駆けくだっていく。
「ばっかやろう! 死にてえのか!」
「すんません!」
歩く人から、声がかかるけれど、スピードは落とせない。
――今だけは!
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