第十五章 五年の月日が流れた

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アメリカで、由梨は雑誌の掲載されている西園寺健吾が気になっていた。 (この人、どこかで会ったことあるような……) 毎日雑誌を眺めていた。 由梨は夢を見ていた。 夢の中でその男性は怪我をして苦しんでいた。 「大丈夫ですか」 その男性は由梨の腕をひき寄せ、キスをしてきた。 びっくりして飛び起きた由梨。 心臓の鼓動が加速していった。 雑誌のその男性をマジマジと見つめた。 (あなたは誰なの?) 由梨はどうしてもその男性に会いたくなった。 その頃、日本では、さえの言動が気になりはじめた健吾は、裕也を呼び出した。 「おい、裕也、さえの行動を見張れ」 「組長、ヤキモチですか、新妻の行動が気になっちゃいますか」 「バーカ、ちげえよ、誰にも言うなよ、俺とさえは契約結婚なんだ」 裕也はポカンとしていた。 「いいか、さえには堅気の男がいる、俺だって由梨は諦めきれない、 さえいわく、その堅気の男を守るために、俺と結婚したんだ、けど、さえと暮らしはじめて一ヶ月、男の気配は感じられないし、毎晩求めてくる、俺は苦痛で仕方ないんだ」 「組長、贅沢ですよ、毎晩求められて、苦痛なんて」 「アホか、快楽のないセックスがどれほど無意味か、全く欲情しねえ」 「へえ、そんなもんですかね」 「いいか、さえがどんな行動を取っているか、張りついて報告しろ」 「わかりやした」
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