クリスマスイブには花束を

離婚

調査結果が届く。
やっぱりだ。
私とレスになったのは、これが原因だったんだ。
彩香は、勇輝と、浮気相手の女性が並んで映り、ホテルに入っていく浮気を決定付ける写真を目の当たりにして愕然とした。
それを勇輝に突き付けてから、更に2人の間に入った亀裂は、修復のしようがなかった。

21歳で結婚してから17年がたっていた。
問題は、一人娘の紗綾香だ。
13歳の紗綾香は、これから、高校、大学とお金がかかる。
多少の慰謝料や養育費をもらってもたかがしれている。
しかも、一人娘の紗綾香は、父の勇輝が大好きで、勇輝も、紗綾香に対しては優しい父親だった。

ただ、離婚しても、浮気相手と再婚して欲しくはなかった。
急に、新しい母親を押し付けて、思春期の紗綾香を悲しませるような事だけはしないで欲しい。
浮気相手とは決別して、紗綾香を育てる事を条件に、彩香は、親権を勇輝に譲る決意をした。
大切な一人娘との別れは、あまりにも理不尽だが、パートしかしていない彩香には生活力が無い。
辛い選択だったが諦めるしかなかった。

その頃、充夫の家庭も冷めていた。
子供の無い夫婦は、正直寂しい。
充夫は子供が大好きで、子供と楽しく暮らす毎日を思い描いて結婚しただけに、夫婦2人だけの毎日は日に日に冷めていく。
妻の真美も同じ思いでいたから、離婚はあっさりと成立した。

こうして、彩香も充夫もシングルの生活が始まった。