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神様からのプレゼント
年が開けて、北陸では、一年の中で最も寒さが厳しい2月になった。
風邪気味の充夫は、今ひとつ体調がすぐれないようだ。
何だか胃が痛くて食欲もなく、
彩香は心配だった。
それでも、3月になると、春の兆しが少しづつ見え始めてくる。
ただ、今度は彩香の体調が悪い。
何だか吐き気がして食欲が無い。
ただ、彩香は、もしかしたらと思っていた。
先月から生理が来ない。
比較的に不順ではないのに、もしかしたらと産婦人科を受診してみた。
「おめでとうございます。
今、妊娠2ヶ月ですね。」
と告げられる。
嬉しかった。
早速、充夫に報告すると、彼は
それはそれは喜んでくれた。
元々、子供が欲しくてたまらなかったのだから。
しかも、大好きな彩香が、自分の子供を産んでくれるのだ。
早速、双方の親に告げ、入籍を済ませた。
結婚式も新婚旅行もしなかったが、彩香は、早々に、充夫の家で、彼の両親と共に暮らし始めた。
充夫の両親は、初孫が出来ると大層喜んでくれたし、彩香の親も
再婚と妊娠が同時に来て慌ただしい。
何よりも、優しい充夫と幸せそうに笑う娘の姿にホッとする。
春になり、桜が満開になり、
2人は、犀川に花見に繰り出した。
美しく咲き乱れた桜並木を見上げて、彩香は、優しくお腹を触りながら新しく芽生えた命をいとおしみながら歩く。
ベンチに腰掛けて、お弁当を広げて食べ始めるが、悪阻で、あまり食べられない。
「彩ちゃん、大丈夫?」
と、心配そうに顔を覗き込む充夫だが、自身もあまり食欲が無いようだ。
「最近、やっぱり胃が痛くてしんどい。」
「結構前から痛いって言ってるよね。医者でもらった薬きいてないよね。
心配だから、大きい病院でちゃんと検査して貰おうよ。
もうすぐパパになるんだから、体は大事にしなきゃ。」
と促す。
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