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新しい命との引き替え
彩香の言葉通り、充夫は、大病院で精密検査を受けてみた。
桜も終わった新緑の季節だった。
病院から連絡があり、病状を説明したいから、ご夫婦揃って来て下さい。
と告げられる。
嫌な予感しかしない。
そして、その予感は現実の物となる。
医師が告げた衝撃的な言葉は、信じ難く、受け入れ難い命の宣告だった。
「吉川 充夫さんは、膵臓癌です。残念ながら、かなり進行している状態です。」
更に、医師は致命的な一言を添えた。
「持って、年は越せないかと思います。」
つまり、年内、後、半年位しか生きられない事を意味している。
頭をハンマーでなぐられたように、目の前が真っ白になった。
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