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「酷いヒト。最期まで姉さんの名前を呼ぶなんて 」
窓を開けると、土砂降りの雨の音とともに部屋の中に冷たい空気が入ってくる。
「姉さんや父は、この一族に新しい血が欲しかっただけよ。本当にあなたを愛していたのは私だけだというのに。」
あなたが欲しくて、この手を汚したというのに。
男の妻は、姉が崖から落ちていく姿を思い出しながら、数十年経っても忘れる事の出来ない感触の残る、皺だらけの両手で顔を覆った。
外では雲雀が鳴いていた。
妹は、姉が勝ち誇った様に、あの美しい顔で微笑んでいる気がした。
《ヲワリ》
2023.11.25 執筆
2023.12.17 公開
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