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カウンターに二人残された桜子と昭……。
桜子が昭に話しかけた。
「昭君、今度会えるかな? 話したいことがあるの」
「会うって、二人でですか?」
「うん……。だめかな?」
「華が……、華が嫌がるんですよ。
桜子さんと二人きりで個人的に会うの……」
「そうか……。そうだよね。自分の彼が他の
女性と個人的に会うなんて。ごめん、今の忘れて」
そう言うと桜子は綺麗な黒髪をかきあげた。
彼女から漂う、甘く大人の香りが昭を
惑わせる……。
カウンターに流れる沈黙……。
カラン……と氷が解ける音がする。
「来週の木曜日……」
「えっ……」
昭の顔を見る桜子に、彼は正面を見たまま
立ち上がると、
「来週の木曜日、午後七時に
桜塚神社の境内」
と言い残し、店のドアを開けて外に出て行った。
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