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先輩との会話を終えた華、スマホをポケットに入れようとした時、店のドアが開いた。
「華、電話終わった?」
店の中から出来てきた昭が優しく微笑んだ。
「うん、今終わったところ。あっ! 遅いから迎えにきたの?」
「あたり~。みんな待ってるよ。
中に入ろう」
「うん」
昭と華は店の中に入って行った。
店内に入ると、カウンターには健二と桜子が
二人を待っていた。
「すみません~。お待たせして」
明るい声で話す華に対して、昭は無言で席に
座った。
深夜零時を回る頃、四人はショットバーを
後にした。
「今夜は楽しい夜だった。二人とも気をつけて帰ってね」
健二が昭と華に声をかける。
「はい、ありがとうございます。本当楽しい夜でした」
昭が健二と桜子に言った。
「華ちゃん、またね」
優しく声をかける桜子。
「はい、ありがとうございます。また今度」
華が笑顔で言った。
「また、四人で……」
昭が声をかけた。
「そうだね。四人で……」
健二と桜子と別れ、昭と華は夜道を駅に向かって歩いて行った。
来週の木曜日……
午後七時……
桜塚神社の境内……
桜子の耳に残る昭の声。
桜子が髪をかきあげる仕草……
昭の嗅覚に残る彼女の甘く大人の香り。
昭、華、桜子、健二、四人の夜は
過ぎて行った。
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