花明かり

これって再会？

「あ……昭君、その……
この前は突然ごめんなさい」
　申し訳なさそうに桜子が言った。
「い、いえ、こちらこそ。桜子さんがいたから少し　驚いてしまって……」
「いいんですよ。俺も正直驚いたから……」
「それってまさか、昭君も聞こえたの？
『あの声』」
「はい……。聞こえたというか、脳の中に直接
　響いてきたという感じで……」
「そう、私も声が聞こえてきた時は驚いて、
　思わずその場から立ち去ってしまって……」

「あの日以来、いったい何がどうなってるのか……俺、正直、頭の中がグチャグチャなんですよね」

「ところで、昭君……」
「はい？」
「その……、大丈夫なの？」
「なにがですか？」
「会社……。時間とか……」
「え？えええ～、もうこんな時間」

桜の木からは風に吹かれた桜の花びらが
一斉に舞い上がった。