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翌日の昼、公園のベンチに座る昭、
そして隣には孝弘。
「そうか……。いろんなことがあり過ぎた
二日間だったんだな。ご苦労さん。で、答えは見つかったのか?」
孝弘が昭に尋ねた。
「ああ、見つかったよ。はっきりと」
「で、どうするんだよ」
「どうするって?」
「どちらを選ぶんだって話だよ」
「ああ、それね……言わないよ」
「言うと思ったよ。でも、俺はおまえが
だした答えならそれでいいと思うぞ。で?」
「来週の夜に桜子さんと
会うことになったから……桜塚神社で」
「そうか……。今年最後の桜になるな」
「そうだな。今年最後の桜だ」
昭が呟いた。
空を見上げた昭が深呼吸をすると、
ポケットから、小袋を取り出し中身を
手のひらに乗せ、孝弘に言った。
「金平糖食う?」
「はぁ? なんでいきなり金平糖なんだよ」
「昔、城外の市場で見つけただろ?
それ以来、おまえの大好物だったろ? 平蔵」
昭がニヤっと笑った。
「おまえ、気づいてたのか?
いつからだよ」
「さ~ね~。教えない」
「まぁ、そういうことだ。おまえとは腐れ縁
だな……」
孝弘が微笑んだ。
「ああそうだな……」
昭は孝弘の肩に肘を置くと笑顔で
そう答えた。
風にのって桜の花びらがひらひらと
二人の頭上で舞い踊っていた。
そして、桜の季節も終わりを
告げようとしていた。
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