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「そう……見てのとおり。
手首のあざ、薄くなってるでしょ?」
「はい、以前は確かもっと……」
桜子は自分の娘を見ながら、
「最近、あざが薄くなったなぁ~って
思ってたら……つい最近、娘の手首に
突然『桜の形をしたあざ』が出現したの」
と言った。
「それって……」
驚いた昭が、桜の木の下にいる彼等の子供に視線を移した。
桜の木の下で向き合い、
楽しそうに話す幼い二人の子供たち……。
「美桜ちゃん、そのあざ、怪我したの?」
「これ? ううん、ちがうよ」
「そのあざ、桜の形をしてるね……」
「うん。ママが教えてくれたの。
このあざは、美桜がここにいるって
いう目印なんだって。美桜を迎えに来た時に
すぐにわかるように……」
「美桜、和昭くん、戻っておいで」
二人を呼ぶ声がした。
「あっ! パパが呼んでる。
和昭くん行こう」
美桜ちゃんが和昭くんの手を握った。
「美桜ちゃん、あのね……
……だよ。だから……ようね」
和昭くんは美桜の耳元で何かを囁いた。
和昭くんの話を聞いた美桜ちゃんは、
満面の笑みを浮かべると、
嬉しそうに、頷いた。
桜の木の下から戻ってきた、
美桜ちゃんと和昭くんに、桜子が聞いた。
「二人とも、ヒソヒソと何を話してたの?」
二人は互いに顔を見合わせると、
「ママ、あのね、和昭くんが、美桜のこと
迎えに来てくれたんだよ。
大きくなったらお嫁さんにしてくれるって」
互いに、可愛い手を握りしめ、
並んで立つ二人の子供の眼差しは、
遥か昔に見た見覚えのあるもの……
桜子と健二、そして昭と華の四人は、
その光景を見て互いに微笑みを交わした。
昭は優しい笑みを浮かべ、
和昭と美桜の前にしゃがみ込むと
二人の頭を撫でながら、
「桜姫、昭之助様、末永くお幸せに……」
と呟いた。
満開の桜の木が風に揺れると、
桜の花びらが一斉に舞いあがり、
薄桃色の綺麗な花びらがひらひらと
空中を舞う……
昭之助……
これからは、ずっと、
そなたと一緒なのだな……
はい、姫様……
この先、何があっても、
あなたのお傍を離れません。
私と桜姫様は永遠に一緒です……。
~ 完 ~
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
『それが、定め(運命)というのなら』
から、始まり、『君に会いたい』に続き、
そして、『花明かり』で完結致しました。
スター、スタンプ、コメント本当に
ありがとうございました。
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