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四人の夜
「桜子さん、健二さん、お久しぶりです」
いつもの笑顔で二人に挨拶する華。
週末の夜、桜子、健二、華、そして昭は
人気のレストランにいた。
「うわぁ~、この店お洒落ですね。大人の店って感じで……流石ですね」
店内をキョロキョロと見渡す華。
「すみません、急にお誘いしたにもかかわらずお店まで手配していただけるなんて……」
恐縮そうに昭が言った。
「ははは、そんなことはないよ。この店の
シェフは知り合いなんだ。」
と言うと健二が微笑んだ。
「乾杯しましょうか。グラスを持って」
桜子がシャンパングラスを手に持った。
三人もシャンパングラスを手に持つと、四人は
それぞれにグラスを傾けた。
「乾杯……」
四人のグラスを重ね合う音が、カチャン……と鳴ると薄いガラスの振動が綺麗な音色になって四人の耳に聞こえてきた。
「わぁ~、グラスの音までお洒落だ。ね、昭くん」
華は隣に座る昭の顔を覗き込んだ。
「うん。料理も美味しそうだ」
「じゃあ、食べようか」
健二の合図で四人は美味しそうな料理の数々を食べ始めた。
和やかな時間……。四人の笑い声とクスクス声が暖かい雰囲気を創り出す。
「華、これ旨いぞ。食べてみ……」
昭が彼女に料理をすすめると、料理を口に
運ぶ華。
「本当だ。美味しいね~」
幸せそうに笑い合う二人。
そんな二人を目を細めて見る桜子と健二。
「本当いいね~。若いって。ある意味」
「なに? 前にもその言葉聞いたけど……」
「だって、桜子もそう思うでしょ?」
「そうだね。仲いいし、お似合いだね
この二人」
「何桜子、僕たちも超お似合いの二人でしょ?」
健二が桜子の顔を見るとウインクをした。
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