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私も熱々の湯豆腐を、おろしポン酢にたっぷり潜らせて、口へと運ぶ。柚子の風味と大根おろしが絶妙なハーモニーを醸し出し、豆腐の旨さを引き立てている。やっぱりこのおろしポン酢は最高だ。私の心も顔も綻んだ。
「お父さん、そういえばなんで急にモナカなんてカゴに入れてたの? 普段食べないよね?」
「あ、あれね。職場でおやつに食べたんだけど、求肥が入ってておいしかったから、梨恵喜ぶかなと思ってね。求肥入りのモナカ好きでしょ」
「うん、ありがとう」
おいしい湯豆腐を食べて、満足そうに旦那が笑う。確かに私は求肥好きだけど、このモナカ、値が張るから普段買うことはないのに……。しかも旦那のお小遣いからじゃなく、家計から支払ってるのよ。気持ちは嬉しいけどね、なんだろう、モヤるわ……。
「ご飯食べたら、後で緑茶入れるね。一緒にモナカ食べよう」
食器を片付けたテーブルに、モナカと湯呑みが並んでいる。急須で注ぐと、湯気と緑茶の香りが気持ちまで穏やかにさせる。
「今日はおいしい湯豆腐作ってくれてありがとうね。やっぱりいい豆腐は違うだろ?」
ドヤ顔の旦那にちょっと笑った。
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