晩ご飯

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「おいしかったけど、豆腐の違いは分からなかったなぁ。おろしポン酢がいい仕事してたから」  私は緑茶を口に含むと、口の中をさっぱりさせた。 「梨恵も違いが分からない? 翔太と同じお子ちゃまの舌だな」  モナカを頬張りあざ笑う旦那がおかしくて、逆にこっちが笑えるわ。 「またあの豆腐で、湯豆腐してくれ」 「はいはい、分かりました」  買い物の時、カゴに入れたのは国産大豆の豆腐ではない。あの人が豆腐の違いの分かる人だとはどうしても思えなかったのだ。舌触りがどうとか、大豆の風味がどうとか……高級豆腐と思い込んで食べた豆腐は、私が選んだ安い豆腐。おいしそうに食べる様子を見て、何度吹き出しそうになったか。 「ご機嫌だね。そんなにモナカおいしい?」  今も笑いを堪えるのが精一杯だよ。 「うん、求肥入ってるとおいしい」 「だろ?」  こうして旦那をうまく手のひらで転がして、今日も我が家は円満に一日が過ぎていくのであった。  
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