デスゲーム裁判

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三「確かに、自己又は他者の権利、又は自由を守るべくやむを得ず、左江内氏を見捨てて逃走したのは緊急避難に該当しますね」 「関口被告にはクラスメイトを殺害する意志はなかった事はご理解頂けたかと。殺意なしという事は『第一級殺人罪』の罪状は取り下げて頂けるのではないでしょうか?」 『緊急避難』の該当により、以前の裁判で突きつけられた『第一級殺人罪』が変わる兆しが見えて来た。 「左江内氏の件についてはそうですが、デスゲームの被害者は左江内氏を含め三十名以上います。全てにそれが当て嵌まると?」 「どういう事ですか裁判長?」 「その内、一件でも殺意ありの殺人があれば、殺人罪は通せます。被告は犠牲者の全員に殺意がなかったと断言出来ますか?」 デスゲームの犠牲者全員に緊急避難が適応出来るかだと? 「俺は、クラスメイトに殺意を持った事は、ない訳ではありません。でもデスゲームでそれを実行に移してはいません」 「デスゲーム中に誰とも戦わずにただ逃げ回っていたというのも信憑性は薄く、有力な武器を装備していながら使わなかったのも信じがたい。被告はどう釈明しますか?」 「裁判長、デスゲーム逃げ回って強制参加させられても、有力な武器を持っていても必ず殺し合ったり使ったりする必要はありません。ルール上は最終的に生存出来ていれば問題ないと思います」 「それではデスゲームのルール違反では?」 「デスゲームのルールは公式のものではないのでルールとしては認められません。殺人をはじめあらゆる犯罪を容認するルールですから従わないのは人として真っ当な判断ではないでしょうか」 「飽くまで自己判断に基づく行動だったと、しかしクラスメイトの友崎という人物も遺体として発見されました。友崎氏についても緊急避難だったと主張しますか?」 「はい、友崎氏については緊急避難が該当します」 「羽山氏が被告と友崎氏を襲撃したということですか?弁護人はそれをどう証明します?デスゲームの殺人事件には被告を除き証言出来る人物がいないと聞きますが」 「被告本人が証人です」 「では被告は、その時の様子を詳しく述べるように」 「わかりました。俺はずっと島にある廃屋で隠れていました」
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