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七「自殺したんです。妹尾は」
「しかし被告には妹尾氏の自殺の幇助もしていなければ、自殺の教唆もしていないので、殺意もなかった事の証明になります裁判長」
「妹尾氏の自殺の意志を汲んでしたと?助けようと思えば力づくで自殺を止められた筈です。何故そこまでしなかったのか」
「被告が妹尾氏の意志を尊重したからです」
「違います。妹尾氏を自殺に追い込む形で殺害しています」
「しかし被告には殺害の意志はありません。結果的にそうなったとしても、これは殺人で問うべき問題ではありません裁判長!」
「そうですか、では被告らを襲撃したという羽山氏について訊ねましょう」
「裁判長、それは正当防衛です。羽山氏がいつ襲いかかって来るかわからない急迫不正の事態ですし、被告は自分の権利を守る道理があります」
「正当防衛だったとしても、羽山氏の遺体の状態は酷かったですよ」
「相手は被告より戦闘能力に優れた人物です。そんな相手にちょっとやそっとの事で勝てる訳がないんです。だから被告は力の加減が出来なかったんでしょう。過剰防衛にはなりますが、それは一時的心身喪失によるものかと」
「被告には殺害する意志はなかったんですね。ですが、それを裏付ける証人がいない以上は認めるのは困難です」
「それについては証人を呼んであります」弁護人がそう言うと、証言台に妹尾が姿を現した。自殺してしまったとばかり思っていたが、生きていたのか。
「被告人、関口さんが誰も殺害していない事をこの場を借りて証言します。あたしは関口さんと最後までずっと一緒にいたので一部始終を目にしていますので」
「宜しい証人はデスゲームの様子を嘘偽りなく話すように」
「わかりました。デスゲームの最終局面で何が起こったのか」
妹尾のは裁判長に向かって口を開いた。
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