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9 くっ!洗濯って…!
sideシェリエ
くっ、洗濯ってこんなに手がかじかみますの!?
私は自分の洋服やロロドロア様のお洋服を洗濯していた。
もちろん、洗濯の魔法機械などは上流階級のものであり、そんな贅沢品はこの屋敷には無い。
洗濯板と石鹸で、ごしごし、わしゃわしゃ、洗うのである。
お湯にしたけれど、もう冷たくなっている。
洗濯板にこう!擦り付ければいいのよね!?
一生懸命やって、何とか旦那様が帰ってくるまでに干せた。
だけど、私は疲れ果てて、リビングのソファに倒れ込み、眠ってしまった。
あぁ…
あと、夕飯作りが…
ある…のに…(-_-)zzz
♦︎
目を覚ますと、ベッドの上で熟睡していた。
誰が…
ここまで…?
って、決まっているじゃない。
この屋敷には、ロロドロア様と私しか居ないのだから。
かじかんだ手も綺麗に治っている。
私が起き上がると、サイドのテーブルとチェアに、ロロドロア様は腰掛け窓の外を眺めていた。
「ロロドロア様…」
「シェリエ、気がついたか…」
「申し訳ありません。
まだ、夕食の準備が…」
「俺がそんな事で怒るような器の小さい男に見えるか?
洗濯見たよ、ありがとう。」
ロロドロア様は少しはにかんだ笑顔でそう言って私の髪を撫でた。
「いいえ、つ、妻としての当然の役割ですわ!」
「いや、元貴族の君には辛かっただろう…
綺麗な手もアカギレてしまった…」
ロロド様は私の手にそっと触れる。
「ロロド様…?」
私が首を傾げると、彼はパッと私から離れた。
「夕食にしよう。
俺が作ったから。」
そして、私たちは夕食を食べた。
「明日は休みなんだよ。
仕事がな。」
「…そう…ですの。」
だから、何だと言うのだろうか?
「鈍いな、君も。」
「あら、それだけで分かる方ってエスパーなのでは?」
休み=何だっつーの!
つい、口調が荒くなる。
いけない、いけない。
私は…貴…じゃなくて、もう夫人なのだから。
「だから…
デートしないか?」
旦那様の口から意外な言葉が出た。
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