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6 扶養家族が増えただけ?
sideロロドロア
俺が作った料理をかなり無言で食べた彼女は「眠ります。」と言って寝室に上がった。
俺は「おやすみ。」とだけ言い、彼女の空いた食器を片付けた。
やれやれ、面倒を見るのが大変な、元ご令嬢の扶養家族が増えただけではないか。
結婚とは都合のいい言葉だ。
彼女は食器を下げる事も侍女の仕事だと思っている。
それなのに、俺は彼女の食器を洗い、夜這いにも行かない。
何故だ…?
彼女の僅かに目尻の上がった意思の強そうな琥珀の瞳が、その中に見える傷ついた少女の怯えた瞳が、俺に彼女を抱くのを思いとどまらせた。
全く俺ってやつは…
"いい奴"というのは、俺の事を肖像画にしたらきっと出来上がるのだろう。
そう思いながら、食器を手早く洗い、俺も寝室に向かった。
いつか…
彼女と本当の意味での夫婦となる時が来るだろうか?
無理だろうな、あの様子じゃ、きっと自分のことを女王様の生まれ変わりだと信じていそうだ。
魔導士団の副団長など相手にしないさ…
珍しく、いつも女性を振り続けて居た俺が、振られた気分だった。
シェリエ…か…
そして、俺も眠りについた。
♦︎
ガシァーン!!!
皿が数枚割れる音で目を覚ました。
「なんだ!?
泥棒か!?」
しかし、魔導士団副団長の俺の家に入る泥棒など居るか…?
キッチンに慌てて向かうと、シェリエが皿を片付けていた。
どうやら、料理をしていたらしい。
にんじんが不恰好に切られている。
「おい、待て。
手を切ってるじゃないか。
俺がやる。」
「いいえ、妻の勤めですから。」
「とにかく手を貸してくれ。」
俺は彼女を引き寄せ傷ついた指にヒール魔法をかけ治癒した。
「そうですよね…
誰でも…
使える魔法なのに…」
彼女の琥珀色の瞳が僅かに揺らいでいた。
傷ついた自尊心、見栄っ張りなプライド…
俺は…
シェリエを抱きしめていた…
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