8 深いため息

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8 深いため息

sideロロドロア 「はぁぁぁあ…」 俺は深いため息と共に魔導士団の副団長室に居た。 「どうした? ロロド? 奥方が可愛すぎて夜も眠れないか?」 そう面白そうに尋ねるのは、団長であり唯一の上司のゼンスさんだ。 「下世話な事です。」 俺はキッパリとそう言った。 それに、そのような事実は無いのだ。 「いやぁ、腐っても社交界の華だと言われたご令嬢だぞ? 実際どうなんだ?」 「残念ながら、邪推するような関係にはまだなっていませんよ。」 俺はめんどくさそうに言う。 「はっ? いや、女と言えば一晩抱いては捨てて、の繰り返しのお前さんが… どっか、身体の具合でも悪いのか!?」 ゼンスさんは言う。 酷い言われようだ。 「別に…」 「惚れたのか?」 「違いますよ。 ただ、少し…」 「ただ、何だ?」 「同情してしまう自分がいます。 彼女は皿の洗い方も知らない。 なのに、使用人も居ない俺の家へ… 家族はどう思っているんでしょうねぇ?」 俺は金髪をかきながら言った。 「そりゃ、優しい事だが。 家族は意気揚々と舞踏会やら、晩餐会を開きまくってるらしいぞ。 妹のサラナ嬢のお披露目会だという名目でな。 まぁ、お貴族様がパーティーを開くのは仕事みたいなもんだからな。 だが、なぁ…?」 あんまりにも酷くはないか。 その言葉がゼンスさんの口調には隠れているようだった。 「それはそれとして… 団長、何かお話があるのでは?」 「また王都から行方不明者が出た。」 ゼンスさんはポツリと言った。 「またですか…?」 最近妙な事件が流行っている。 人が誘拐されるのだ。 そして、不思議な事に2、3日後に戻ってくる。 さらに不思議な事に、誘拐された期間の事は何も覚えて居ない、というのだ。 戻ってきた人間に異常は無く、少しの期間様子を見た後、そのまま家に帰してはいるのだが… 「明後日、魔の森リザンヌに行ってみてくれんか? 何か手掛かりがあるかもしれない。」 多くはダンジョンで誘拐される。 今回の消えた人物も魔の森リザンヌで捕えられたのだろう。 俺はまた深いため息を吐いた。
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