極彩色の街

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この地区にはその種の店に勤務する女性以外に、フリーランスで売春する女性たちが公園の前に数人屯している。いつも同じ時間、同じ場所に同じような年齢の同じような体型の女性たちが立っている。ある冬の深更に、私が角を曲がった瞬間に女性とぶつかりそうになり視線がかちり合ったことがある。寒空の下永遠と立ち続けて私のことを客と勘違いしたのだ。とは言い条、私が彼女たちと出会うのは大抵平日の仕事が遅くなった帰りで、その時間帯はまだ客がいないらしく、女性たちは世間話をしているのが常であった。全員がその日の売上を収納する小さな肩掛けポーチを持っていた。私は曩時に、女性たちがそのポーチからかの有名な棒状の猫用おやつや、プラスチック容器に入ったプリミティブな猫の餌を白猫集団にやっている所を目撃したことがある。ショッキングピンクのプラスチック容器から白猫が餌を食べる姿は、この街の看板ー原色を下地に白文字が抜き出た看板と色合いが同じである。この街は極彩色で出来ているようだ。
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