いざ、故郷へ

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 学校には事前に連絡してなかったので外から眺めるだけに終わる。勝手に入ったらいくら卒業生でも不法侵入だから。私たちは夜までそれぞれ実家でのんびりした。  さて同窓会にて加藤旭に会えるかどうかと楽しみにしてたが、残念ながらいなかった。加藤旭を刺した小川果歩も不在、さすが委員長はまともな神経をしている。  誰々が結婚したとか、就職したとかの話を聞いていたが肝心の目的は果たせずに心はくすぶっていた。  酔い覚ましをすると言って私はいったん外に出て、冷たい空気を受けながら情報を整理してみた。  今回わかったことは ・加藤旭は高校を卒業後、逃げるようにして遠いところに進学 ・加藤旭の幼馴染も県外を進学して、そこで出会った人と結婚した ・加藤旭の実家は彼が大学に卒業後、火事で焼けてしまって加藤旭の家族も町から去った ということ。  加藤旭と幼馴染が結婚しなかったことは驚いたが、あの事件をきっかけに幼馴染は加藤旭に対する恋心を辞めたそうだ。一時期は付き合おうかなと思ったが、様々な女の子たちにデレデレなところとそれで女の子の恨みを買ったことに冷めてしまったとか。  ある意味、彼にとっては自業自得だろう。    しばらくしていると加藤旭の親友である成田が出てきた。  事件の後、旭の元から一人、また一人と距離を取ったが成田だけが彼の味方として残っていた。今でも旭とは交流があるとのこと。 「久しぶり、忍さん」 「やあ、成田くん。旭くん来なくて残念だったね」 「まあ……もう少しなのかもね。会えそうなのは」 「精神的な問題? 小川果歩のこと?」 「うん……正直、調子こいていたところもあるけど、小川果歩の件が旭の中に残っているのよね」  小川果歩が加藤旭を刺した理由は神の意思にしたがったから。要するに天罰を行ったというもの。  少年犯罪っていうのもあるけど、精神的にあれだからということで小川果歩は結局罪に問えなかった。 「そうだよね、あの人がああ言っていたら関わりたくないよね」 と私は相づちを打ったあとにやりと笑う。 「それにしても、小川果歩がかしこいことに感謝だね。本当に助かったわ」 「はっ……?」
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