やさしい日向

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 あの日の後、すぐに戦争が終わった。負けたのだ。ずっと会いたいと願っていたお父さんはもうこの世にはいなかった。生きていたお母さんに会った時は嗚咽しながらずっと抱きついていた。  そして、あの村から離れて数年後に、またお母さんと訪れた。崩れたおばさんの家はだいぶ元通りになっていた。 「豊恵ちゃん久しぶり。大きくなったね」 「お久しぶりです」  そんな会話を交わしていると、猫の鳴き声が聞こえた。 「ごめん、ちょっと外に出るね」  日向のお参りをしに行くことにした。もうあの花畑は残っておらず、野原が一面に広がっていた。 「日向、助けられなくてごめんね。もっとずっと一緒にいたかった。また、会いたい」  涙を堪えながらそう言うと、また猫の鳴き声がした。すると、私の足元に小さな猫が二匹、野原に座り込んでいた。日向のように真っ白な猫。そして、あの空襲があった後の日向の姿のような真っ黒な猫だった。 「名前、つけてもいい?」  その猫たちが再び一緒ににゃあと鳴いて、私の目から涙が一粒垂れた。
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