やさしい日向

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 気がつくと攻撃は終わっていた。ふと防空壕で見た家族写真を見た。 「助けてくれたのかな……」  お父さんとお母さん。今、生きてるのかな。この戦争が終わったら、会えるかな。いや、絶対に会う。これ以上不幸な思いをしたくない。  日向を抱えながら防空壕を出た。あの美しかった花畑は無くなっていて、ただの焼け野原になっていた。私の幸せな日々は、これで終わったのだ。私はその野原を歩いて、日向と出会った場所に向かった。といっても、大体の場所しか覚えていなかった。 「ここらへんかな……」  私は地面を掘った。日向を埋めるのだ。日向との思い出がたくさん詰まった場所に。  埋め終わって、私はこの場所にさよならを告げ、おばさんのもとへ戻っていった。
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