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プロローグ
カララン。
静かな店内にドアベルの音が鳴り響く。ホールのテーブルで一人ノートパソコンに向かっていた俺、鶴川 天は、画面から顔を上げた。
「よう!」
ドアの前には、ヒョロリとした男がニヤリと笑いながら、片手を上げていた。海老沢さんだ。
ここは、洋食屋「ハピネス」。先代から続く店で昭和レトロな雰囲気が今でも漂う。そして、それが妙に落ち着くんだよ。そのせいか常連客も多く、彼もその一人だ。先代の頃から通っている。
それは有難いんだけどさ……
俺は、心の中でため息混じりにぼやく。
時々営業時間関係なくやって来るんだよー。刑事って職業柄、不規則なのは分かるけどね。でもさ、こっちにも都合ってものがあるんだよ。ったく、困ったもんだ。
俺は、大きく吐息すると、彼を軽く睨んだ。
「入り口に貼り紙してあったでしょ。見えませんでしたか?今日は臨時休業ですよ」
「あー、見た、見た。デッカいの貼ってあったよなぁ」
海老沢さんはそう言うと、ズカズカと俺の側へやって来た。俺は、軽く頭を掻く。
「注文しても何も出てきませんよ」
「アホ。そんなことくらい分かってるよ。ほら、これ」
彼は、小さな紙袋を顔の高さまで上げて見せると、俺の前のテーブルの上に置いた。
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