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「おっちゃん、もう少し飛ばせる?」
「おう、任せな。シディちゃんをちゃんと送り届けるからなぁ~~」
「ありがとっ」
シンデレラは今馬車で城へ向かっている。シディとはシンデレラの愛称だ。義母たちが家を出て一時間ほど過ぎてから仕度を始めたシンデレラだから、時間が無い。
だが万が一途中で義母たちと鉢合わせ、舞踏会へ行けなくなることだけは避けたかった。
ーーあの人にお礼を言えるのは、きっと今日しかないから……。
父も亡くなり、義母たちにいじめられた当初。壊れかけたシンデレラの心を救ってくれたのは彼だから。
『終わりじゃない。これからだ、シンデレラ』
その言葉がシンデレラをずっと支えてくれた。
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