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遠方に住む友人が久々にこっちに来ることになり十年ぶりに再会することになった。
どんよりとした、重たい雲が今にも落ちてきそうな冬のことだった。
同い年で、とても気のいいやつで、こっちにいる時はよく飲みに行った仲でもあった。友人が地元を離れた後も、チャットなどを通じてよくやり取りをしていた。
ただ、あの日以降会っていない。彼の婚約者の葬式以来。
彼の婚約者というのは、たいそう美人で文武両道といった感じの女性だった。そして、とても仲睦まじい二人だった。
婚約者の葬式の時に顔を合わせたときは、とてもひどい顔だったのを覚えている。
あれから数年たった今は元気にしているのだろか、いろんなことを考えながら待ち合わせの最寄り駅に行った。
良くも悪くも栄えてはいるものの、都会の様な洗礼さは全くない、ごちゃごちゃした場所だった。
ごちゃごちゃした中に、人がどんどん現れてはどこかへ消える。大方、電車でも到着したのだろう。僕は軽いめまいを覚えながら、改札前の柱に寄りかかっていると、待ち合わせ人が改札口から現れた。
意外だったのは、友人は小さい子どもを二人連れていたことだった。
双子なのか子どもは鏡合わせのようにそっくりだった。
肌は雪のように透き通って白く、髪は濡羽色で唇は血で染めたように真っ赤だった。唯一違うのは、来ている服の色が赤と青で違うことくらいだった。
僕がびっくりしていると、友人は笑って自分の子どもだといった。
いつの間にか結婚したのか、と問うと友人は首を横に振った。
詳しい話は暖かいところで、ということになり近くのファストフード店に入った。
適当にハンバーガーと大きめサイズのポテト、コーラとコーヒーにミルク二つを注文して窓際の席を確保した。
子どもたちは、ファストフード店に遊び場が珍しかったのか、食事もとらずにそちらにかけていった。昔はたくさんあったけど、今時珍しいしから無理もない。それに今は、友人に根掘り葉掘り聞かねばなるまい。子どもには悪いが、席を外してくれたことは好都合だ。
「で、あの双子はどうしたのよ。誰かから預かってる感じ?」
「ちげえよ、俺の子どもだよ」
「へえ、結婚してないのに?」
「まあ、シングルファーザー? ってやつ」
母親はどうしたのか、と聞くと友人は寂しそうに笑いながら言った。
「あの子たちの母親は消えたよ」
答えになっていないというと、じゃあ今から言うことを真剣に聞いてくれるか? そう問うてきた。真剣な目でそ言うので僕は頷いた。
「あの子たちの母親は、俺の婚約者を殺した女だよ」
双子のほうを見つめ、ホットコーヒーを口に含んでから語りだした。
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