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ひとしきり説明したマルムスが、受話器を置き、ユウジ達のところに戻ってきた。
「どうでした?」
「んー……とりあえず、開けるのに15分ぐらいかかるらしいって。ほんで、サウナも温度は下げることできるけど、完全には止められへんからって……」
「そうなんですね……。寺鷹さん、もうちょっとだけ我慢してください」
そう、ユウジが寺鷹に呼びかけたが、返事はない。ぐったりと横たわったまま。
(意識はあるみたいだけど、大丈夫ですかね……。いや、それよりも……)
さっきから気になっていることがある。
寺鷹がユウジの手を取り、自分の頬にくっ付けているのである。
なんとなく気恥ずかしいユウジが、さりげなく手を戻そうとすると、グッと手を握り、戻してしまう。
最終的には、指を絡めてその手を離すまいとし始め、ユウジがおずおずと寺鷹に訴えた。
「あのぅ……寺鷹さん」
「なんですか?」
「その……手を離して貰えませんか?」
「なぜです?」
なぜです?と言われても。
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