サウナはある意味危険。

1/14
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

サウナはある意味危険。

ユウジの姉、千冬が「福引きで当てたんだよねー」と持ってきたのは、高級健康温泉スパの三名様優待券。 「ここさぁ、エステとか垢擦りとかあってね。一回行ってみたかったんだよねー。ねーねー、弟と仲介屋も行こうよー」 そう半ば強引に誘われて。 滅多に来る場所ではない高級温泉スパに来て、ジャグジーだの電気風呂だの、オッサンに対してなんの効果があるのかわからない薔薇風呂だのを満喫して、ふと目についたのが運の尽きだった。 「スチーム……サウナ?」 ユウジがボソッと呟き、横に居た寺鷹が「そろそろ上がりましょうか」と歩き出した腕をグッと掴んだ。 「……なんですか?」 子供のようにキラキラした目をしているユウジに嫌な予感を感じながら、寺鷹が聞く。 「寺鷹さん、せっかくだから入りましょうよ。これ、まだ、入ってないから……」 「あなたねぇ……。その、元をなんとか取ろうというの止めなさい。入りませんよ。サウナって、なんか苦手なんですよ……」 「大丈夫ですよ。普通のサウナと違ってスチームがあるんですから」 「いや、意味がわからない。入りたいなら、あなた一人で入ればいいでしょう?」 「それじゃ、もったいないじゃないですか。寺鷹さんのぶんのもとが取れない」 「いや、だから……」 言いかけて、ため息を吐いて止める。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!