御曹司との出会いは突然に

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思わず目を合わせた朱里は、私にウインクで「大丈夫だから」と気持ちを伝えてくれた。 うなづいてみたものの、やっぱりあの苦い思い出は、まだまだ消せないんだと改めて思い知った。 「双葉ちゃん、これも食べてみて。香里特製『蓮根まんじゅう』よ」 「ママさん……ありがとう」 「きっと美味しいはずよ」 ママさんの言う通り、食べると蓮根の甘みが口の中に広がって、もちもちふわふわした食感に癒された。 「美味しい……」 胸に染み渡る優しい味。美味しいだけじゃない、私を思う温かさを感じる料理に、不思議とうっすら涙が滲んだ。 「喜んでもらえて良かったわ」 「このトロッとしたあんも上品ですごく舌触りがいいし、ママさんの料理……本当に好き」 「あら、そんなに褒められたら照れちゃうわ。双葉ちゃん、この味はいつでもここにあるからね」 「うん……ありがとう」 いつでもここに来るとママさんの料理が食べられる、そう思うと心からからホッとして、気遣いの言葉に感謝が溢れた。
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