4602人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの、あなたは……」
「そうだな、まずは名乗るべきだな。俺は、常磐 理仁(ときわ りひと)」
「常磐……さん?」
「ああ、父が『灯り』の大ファンなんだ。今日は父に勧められて初めてきた」
「そうだったんですか」
「で、さっきの話。男性が、何か以前あったことについて話してただろ? 結婚詐欺とか何とか」
さっきからずっと敬語も使わずタメ口とは。
本当に一体何なの?
でも、そう思いつつ、この見た目のインパクトのせいで何も文句を言えない自分がいた。
「あ……ああ、はい」
「余計なことかも知れないけど、でも、君がとても悲しそうな顔をしてたから。何か君の力になれることはないか?」
まさか、そんな言葉が飛び出すなんて――
あまりに予想外なことが起こって動揺し、挙動不審なくらい目が泳いでしまってるのがわかった。
「そ、そんな……み、見ず知らずの人に助けていただくことではないので……」
最初のコメントを投稿しよう!