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 自室に入ると涼介は我が物顔でベッドに腰掛けた。普段なら隣に座ったり、傍の床であぐらを描いたりするが、夢を思い出してしまってベッドに近付けない。だって夢は俺の部屋だったから。  部屋の隅で膝を抱えて座った。 「何でそんなに離れんだよ」 「気にしないで」 「気になりすぎるわ! 透の嫌がることはしないって言ったろ? こっち来いよ」  隣のスペースを叩く。……ここ、俺の部屋なんだけど。  迷ったが、涼介とこれ以上一方的だけど気まずくなりたくない。恐る恐る隣に腰を下ろす。 「俺さ、透のこと好きだよ」  真剣な面持ちで見つめられる。手が触れ合った。カッと頬に熱が灯る。涼介が柔らかく笑って手を離した。  意味が分からなくて、自分の手と涼介の手に視線を巡らせる。 「良かった。今は意識してくれるだけでいいわ。最近普通すぎて、告白なかったことにされてんのかと思ったから」 「ごめん、そんなつもりはなかったんだけど」 「あるだろ。告白したばかりの頃は、俺のこと考えてるな、って分かったけど、また最近は翼ばかり」  ……そうかもしれない。涼介が返事を急かさないことに甘えていた。真剣に向き合わなきゃいけないって告白されたばかりの時は思っていたのに。 「……あのさ、涼介は俺とキスできる?」  目を大きく見開く。やっぱり聞くんじゃなかった。忘れて、と恥ずかしくて視線を逸らした。 「できる? じゃなくて、したいけど? そういう好きだし。……恥ずかしいんだけど。言わせるな」 「だから忘れてって言ったじゃん! 聞いた俺だって恥ずかしいよ」 「じゃあ何で聞いたんだよ」 「だって夢で涼介が……」  言い淀むと、涼介の片眉が跳ね上がる。 「夢で俺とキスしたの? だから俺、朝から距離取られてんの?」 「してないよ。する直前で目が覚めたし」 「それで? 透はどう思ったんだ? したかったのかしたくなかったのか」 「分かんないから悩んでる」 「じゃあ、してみるか?」  涼介が身を乗り出してくるから、背を反らすと肩を押されてベッドに仰向けになった。覆い被さってくる涼介の顔が近付いてくる。唇に息が掛かり、キスされる、と慌ててキツく目を瞑った。 「……やっぱやめた」  涼介が体を起こして離れていく。俺の手を掴んで引っぱり起こしてくれた。  熱い吐息の当たった唇に触れる。 「何で?」 「ん? 好かれてもないのにしても虚しいだけだろ。透も抵抗しろよ。今のはされても文句言えねーからな」  ……そうだよな。何で俺、抵抗しなかったんだろ。  涼介の肩に手を添えて唇を触れ合わせる。すぐに離れて至近距離で見つめ合った。 「え? 俺が我慢したのに、何で透がしてんの?」 「だって抵抗しなかったってことは涼介とキスできるのかなって? 実際できたし、嫌じゃなかった。俺、涼介のこと好きなのか?」 「俺が知りてーよ! なぁ、分かるまでしてみる?」
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