三話 秘密基地

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三話 秘密基地

 セクスティリア・シラナよりセクスティリア・カエソニアへ文をしたためます    お元気ですか?  私は学び舎にも慣れ、つつがなく過ごしています。  お姉様のお手紙嬉しかったわ。なのに返事が遅くなってごめんなさい。  季節が巡ったくらいにと思っていたのに、半年も経ってしまいました。  それで今日は、遅くなってしまった学び舎のお話をしようと思います。  私の通う学び舎は、水道橋(アクアエドゥクトゥス)を越えた屋台通りの先にあるの。  ここは上位平民(ノビレス)の商家が提供する屋敷(ドムス)を利用していて、医師も在中している整った場所よ。  貴族(パトリキ)から平民(プレブス)までが通っていて、教師も教科ごとに専門の人がいるたいへん恵まれた環境なの。  平民は十二歳までに初等教育を終えて辞める人が多いから、それ以上を学ぶのはやはり、貴族や上位平民が中心ね。  でもここは、ほかの学び舎にくらべたら、まだ多い方なのですって。  陽が昇ってから昼までしかないから、学ぶ時間は少ないはずなのに、家で家庭教師と勉強するよりも学べることが多い気がするのは、色んな子たちがいて、沢山お話を聞けるからかしら。  庭に椅子を並べ皆で勉強するのも、初めは戸惑ったけれど、今はたいへん気に入っているのよ。  だから私のことは心配しないで。  それよりも、お姉様にいただいた猫ちゃんに元気がありません。  お姉様がいなくて寂しいのかもしれないわ。あまりご飯を食べてくれないの。  この子の好きなものを教えてくださる? 今度それを与えてみます。    淑女の鏡たるセクスティリア・カエソニアへ、貴女を敬愛するセクスティリアより
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