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お昼ご飯と晩御飯の間の時間、指定のファミレスに到着した。
半端な時間だから、店内はガラガラだった。
むっつりと愛想の悪いウェイトレスを横目に、店内を見渡す。――一番奥のテーブルで、こちらにむかって手を振る若い女の子が目に入った。
「小田島さん!」
小さい声で言い、ほっとしたような笑みを浮かべている。
地味なセーター、地味なスカート……びっくりするくらい地味な服装。その上にのっかった、地味な顔。
だけど、子供のころの記憶とそれはリンクした。
「……赤川、さん……?」
「来てくれて、ありがとう」
その表情に、私は拍子抜けした。
あの、「この世の終わり」みたいな顔をしていると想像して来たのだ。
今にも、その辺のビルから飛び降りそうな顔を。
けれど、目の前の彼女は純粋に、「10年ぶりに再会するクラスメイト」を見る表情をしていた。
じゃあ、あのメールの「最後」とは何だったのか。
単に、私を呼び出すためのはったりだったのか。
呼び出しておいてにこにこと黙っている彼女を見ながら、私は着ていた薄手のコートを脱いだ。
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