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……は?
「何言ってるの? ――わかった。宗教だ。宗教の勧誘なんでしょ」
彼女を睨んだが、黙って見つめる表情は変わらなかった。
私は顔を引きつらせ、バッグからスマートフォンを取り出した。
「ちょっと、どうかしてるんじゃない? 私は――ほら、こうやって友達からも連絡が――」
SNSのアプリを立ち上げ、沢山の溜まった未読のメッセージを開く。
『リノ、こっちは元気にしてるよ。でも、大学、リノと一緒に通いたかった』
『こうしてメッセ送ると、いつもみたいに返事が来る気がする』
『絶対、りのっち、これ読んでるよねー?』
『りのりのー。彼ピがまた浮気してたんだよー。りのりの、たたってやってよ!』
私の手から、スマートフォンが滑り落ちた。
「……なんで? そんなはず……」
そんなはずない。
ほどほどの大学に受かって、ほどほどの成績で……ほどほどに遊んで……で……それで……?
そこから先が靄がかかって思い出せない。
「小田島さんね、飲み会で慣れないお酒飲み過ぎて……急性アルコール中毒で、そのまま……」
ぽつりと彼女が言った。
嘘。嘘でしょ。そんなこと、あっていいの?
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