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いつか、友人たちも寿命を迎え、私にメッセージを送ってくれる人もいなくなる……そんな、絶望的な孤独を迎えるよりは……。
ごくりと唾を飲みこんで、私は無理に笑ってみせた。
「そう……だね……ちょっと不安……だけど、きっといいところだよね。天国……」
赤川さんは変わらない、穏やかな目で私の決断を待っている。
考えてみたけど……それ以外の選択肢なんて、初めからないんだろう。
私はゆっくりと頷いた。
「……行くよ。私。――先に天国行って、みんなのこと待ってる」
私の言葉に、赤川さんは優しく笑うと、
「わかった。じゃあ……あちらへ送るね。空から光が降って来るから。そしたら、それに身を任せれば大丈夫。……心配しないで、迷子になった人はいないから」
と言って、私の目の前で両手を合わせると目を閉じた。
――眩いほどの光が、スポットライトのように私の体を照らして包む。
これが、お迎えってやつ……なのかな?
その光の中、私の体が……存在が、細かな粒子となっていくのがわかる。
私は薄れゆく意識の中で、笑いが漏れるのを抑えられなかった。
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