星とキスが降る夜は

結婚10年目。
今年の冬は、家族四人でふたご座流星群を見よう。
私と昂(たかし)はそう約束していた。

毎年12月はただでさえ忙しい。
子どもの学習発表会や個人面談。クリスマスやお正月の準備に年賀状や贈り物の手配。ママ友からホームパーティーのお誘いもある。料理は好きだけど、メニューを考えたりご馳走を作るのもなかなか大変だ。子どもたちがリクエストしてくれるからまだ助かるし、やりがいもあるけど。

どうしてこんなに慌ただしいんだろう。
いつも思うけど、仕事も考えることもいろんなことがいっぺんに押し寄せて、結局は大晦日までゆっくり出来ない気がする。
…ああ、大掃除もあった。

『今年は特別だからさ』

なぜ12月なのかは、結婚記念日があるから。
昂(たかし)とふたりでよく行った山梨のペンションは、オーナー夫妻ともすっかり顔馴染みになっている。ここ数年は夏にお邪魔していたから、この季節に行くのは久しぶりで、子どもたちはとても楽しみにしていた。

『俺らもゆっくりしような』

少しもためらわずに優しいキスをして、昂は私をドキドキさせた。