9.やっと見つけた彼女~SIDE惺~

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もしや、厄介事ばかり引き起こす令嬢同士繋がっているのか?  両家の関係を綿密に調べるべきだと心に刻む。 俺と同じような厄介事を抱えている蔵元専務にこんな状況だというのに親近感がわいた。 ふと、出会った頃の儚く悲しそうな希和を思い出した。 守ると誓ったのに、酷く傷つけた自分を殴りたい。 恐らく舘村の令嬢は、俺の地位が危うくなるだの取引が白紙になったら責任が取れるのか、と詰め寄ったのだろう。 立場の弱い人間を守りもせず、逃げ道を奪い、精神的に追い詰めるあの女は、最悪だ。 卑怯な真似をして希和を傷つけた俺が言える立場ではないが、怒りがこみあげる。 『体調が悪いとのことでしたので、これから病院を捜します』 蔵元専務に伝えると、道内の病院を調べておくと言われた。 協力に心から感謝し、俺も捜索に動いた。 だが、相変わらず希和の行方はまったくつかめなかった。 彼女の親友にも話を聞きに行ったが、けんもほろろに追い返された。 人を雇って親友の動向もチェックしたがなにもわからなかった。
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