9.やっと見つけた彼女~SIDE惺~

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立場上、必死に虚勢を張って毎日をやり過ごしていたが心の中は空っぽで、押しつぶされそうだった。 自業自得とはいえ、心身がどんどん疲弊していく。 俺はいつからこんなに弱くなったのだろう?  瞼を閉じればすぐに希和の顔や声が思い浮かぶのに、本人はどこにもいない。 数え切れないくらいに彼女の夢を見て、目が覚めるたび、現実を思い知り、寂しさに打ちひしがれる。 希和に出会う前なら、似たようなほかの女を見つければいいと鼻で笑っただろう。 たかが女ひとりに振り回されて情けない、理解できないと馬鹿にしたはずだ。 でも今は違う。 唯一無二という想い、恋焦がれるという言葉の本当の意味を知った。 希和に会う前の自分なんてもう思い出せない。 希和がいなくてどうやって仕事をし、生きていたのか、わからない。 それほどに愛しくて、大切だった。 仕事のためとはいえ、馬鹿な振る舞いをした自分を何度呪ったかわからない。 毎日、気がつけば無意識に彼女の名を心の中で呼び、話しかけている。 希和の好きそうなものを見かけるたび、胸が痛んだ。 こんな想いを切ないと表現するのだろうか。 ここまで深く彼女への愛に溺れていたと失って初めて気がついた。
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